Meiji.net

2014.04.01

人口減少・少子高齢化社会がはらむ問題解決のために 「ソーシャル・マーケティングで意識を変革せよ」

人口減少・少子高齢化社会がはらむ問題解決のために 「ソーシャル・マーケティングで意識を変革せよ」
  • Share

裾野が広い「産業心理学」という学問

木谷光宏教授 私が研究対象としている「産業心理学」は、産業社会における人間行動を、心理学的知見を活用して理論的かつ実証的に研究する学問だ。高度化し多様化した産業社会の中で人間はどのように行動すればいいのか。それを労働や組織、マーケティング、消費者行動などの切り口で、諸問題解決のために有効な知識や方法を探っていくというものである。産業心理学は100年ほど前、心理学者であるヒューゴ・ミュンスターバーグによって創始された。ミュンスターバーグは、その著書『心理学と産業能率』において、仕事の単調さや倦怠、注意を要する作業などといった問題について、心理的社会的要因が労働効率に与える影響という観点から考察した。その際、産業心理学を「最適の人(職業と適性)」「最良の仕事(作業効率と安全)」「最高の効果(プロモーションや広告宣伝)」の3つの枠組みで成り立っているとし、それが今に続く産業心理学のベースとなっている。したがって、産業心理学が対象とする領域は、人事、組織、労働、職業、マーケティング、消費者心理など裾野が広く、学問的にも人事心理学や作業心理学、社会心理学、経営学、社会学、人間工学など多岐に及ぶ。こうした幅広い産業心理学の中で、近年、私が研究分野として力を注いでいるのが「マーケティング」である。マーケティングのコンセプトは時代の変遷とともに変化してきた。かつてモノ不足の時代、生産指向であったマーケティングは、やがて製品の高品質を求める製品指向へ変化し、やがてプロモーションなどによる販売強化、さらには現在の顧客創造へと内容も意味も変わってきた。

※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

  • Share

あわせて読みたい