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2014.03.01

消費税が抱える問題 ―求められる公正な仕組みの実現―

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より透明で合理的な税制であるために

沼田博幸教授 ここまでわが国の消費税が抱えるいくつかの問題点を指摘したが、税制の仕組みに欠陥があると、経済への歪みや課税上の不公正を発生させ、ひいては、国民の不平不満を増大させることになりかねない。消費税を含む付加価値税は、20世紀の後半において最も成功した課税システムといえるが、完成形に辿り着いているわけではない。EUをはじめ世界各国で、より優れた税制実現に向けた検討が重ねられている。わが国の消費税も発展途上という認識に立ち、より中立的で効率的、効果的な間接税へと進化すべく、公正な仕組みを実現することが必要である。
 わが国の最大の課題の一つは、巨額の財政赤字と累積債務だ。この問題が解決されないと、わが国の将来は相当暗いものになる。消費税はこの問題を解決するための救世主と考えられているが、8%や10%の水準では救世主とはなりえないことも広く知られていることだろう。来年以降、消費税増税は段階的に行わざるを得ない時代に突入していくと思われる。そうした状況の中、より透明で合理的な仕組みとなるような改革が必要であり、そのためには国民一人ひとりが消費税の論理や仕組みに問題意識を持つことが求められている。

※掲載内容は2014年3月時点の情報です。

>>英語版はこちら(English)

※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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