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国土の周辺から日本社会を見る地域が変わると、日本の社会が変わる。

明治大学 商学部 教授 中川 秀一

今の学生には、日本の社会を変える力がある

 長年お世話になっている村が岐阜県にある。その村は6割ぐらいが高齢者の「限界集落」とも言われる状況にあるが、徐々にIターンの人が転入してきており、近年は立て続けに6人の子どもが生まれるベビーラッシュになっている。現在、Iターンの人たちが仕事をしている牧場は、もともとは市町村合併にともなってつくられた観光農場であった。しかし、県から委託を受けて経営をしていた他地域の企業が、儲からないので撤退してしまったという経緯がある。現在は、地元の人たちが出資して新たな会社を立ち上げ、牧場の再建に取り組んでいる。
 こうした村に学生たちを連れて行き、農業用水路の掃除を手伝ったりしながら村の様子を見守っている。今の学生たちは、引率しなくても、学生同士で声を掛け合って出かけるようになっている。子どもを対象とした山村留学の手伝いも行ってきたが、学生たちは社会人を対象にした山村留学ができないかと新たな模索をはじめている。こうした交流から、地元の人たちから、チェーンソーアートのめいじろう(明治大学公式キャラクター)を大学に贈れないかという提案をいただくなど、相互の交流は深まってきている。それを面白く感じ、楽しみ、理解できる学生たちが育つと、日本の社会は変わっていくと思う。学生たちを連れて国土の周辺をゆっくりと訪ねてみると、「あれがいい、これがいい」と新しいものを見つけ出していく。「大人の山村留学」のアイディアなど、こちらが「はっ」とさせられる発見があったりする。

内発的な力と、外的な力を組み合わせることで地域は振興する

中川秀一教授 地域の振興には地域資源を活かすことが重要である。地域資源というものを森林資源に限ることはないのだが、森林は日本では山間部のどこにでもある。うまく活用すれば広域的な資源管理を実現することができ、また生態系の保全にも結びつけることができる。最近関心が寄せられている、小規模分散型エネルギー社会を考える上でも、森林資源の利活用が、国土の周辺に位置する地域の経済や社会を大きく変える契機となり得るだろう。
 では、いかに地域資源を生かして、地域の振興を実現するか。その考察のためには、日本の地域構造を踏まえた上で地域の置かれた諸条件を議論することが欠かせない。同時に、地域の人々の内発的な営力を活かすものでなくてはならない。東日本大震災での被災地からは、地域の人々が自ら立ち上がろうとする取り組みが伝えられている。その力を支える支援のあり方が、被災地の将来に結びつくような構想力が求められている。

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