明治大学の教授陣が社会のあらゆるテーマと向き合う、大学独自の情報発信サイト

体内時計を狂わすような生活は、人類を滅ぼす!?

明治大学 農学部 准教授 中村 孝博

体内時計が狂うと、不妊や健康障害をまねく

 電気による照明が発達したことで、現代人は夜でも活動するようになりました。これは、人本来の生活リズムではありません。夜も照明の下で活動したり、パソコンやスマホなどを見ていると、その光の刺激を中枢時計は太陽の光と勘違いし、体内時計のリズムを狂わせてしまいます。もちろん、人は体内時計が狂ったからといって外敵に襲われるような状況に陥ることはありませんが、実は、それによって身体にさまざまな影響が出ることが知られています。例えば、休み明けの月曜日は身体がだるいという人が多いようですが、これは「社会的時差ボケ」と呼ばれる現象です。土日に、遅寝、遅起きをすることで体内時計の針が後ろにずれて、月曜日は時差ボケのような症状になってしまうのです。土日も平日と同じ生活リズムを変えないことが肝要です。時差ボケで済んでいるうちはまだ良いのですが、体内時計のリズムを狂わせたマウスの実験では、メスの排卵の間隔が狂ったり、なくなってしまうことで、妊娠率が低下したり、不妊になることがわかっています。実は、人にも同じような現象があります。米国の研究では、夜勤のあるシフトワーカーの女性に生理不順が多いことが報告されています。これは体内時計が狂うことが原因であると考えられます。マウスの実験では、その動物に合った生活リズムを戻すと排卵間隔も元に戻り、妊娠率も戻りました。人にも同じことが当てはまるのか、私も研究を続けています。

 また、体内時計が狂うことで病気に罹りやすくなることも知られています。起床から午前中にかけて分泌される血圧を上げるホルモンが、体内時計の乱れによって、朝、分泌されにくくなると、昼と夜の血圧の差が無くなってしまいます。すると、心疾患や脳血管疾患のリスクが上がり、脳梗塞や心筋梗塞の発症につながります。こうした障害や疾患が起こりやすくなることを考えれば、規則正しい生活を心がけ、体内時計が狂うことがないようにすることが大切であると言えます。

社会・ライフの関連記事

民主主義と軍事主義。果たして共存は可能か?

2018.7.11

民主主義と軍事主義。果たして共存は可能か?

  • 明治大学 研究・知財戦略機構 特任教授
  • 纐纈 厚
災害大国日本では、保険が中小企業を救う!?

2018.6.13

災害大国日本では、保険が中小企業を救う!?

  • 明治大学 商学部 准教授
  • 浅井 義裕
衰える結婚、止まらぬ無子化 ――このままでは日本の未来が失われる

2018.5.23

衰える結婚、止まらぬ無子化 ――このままでは日本の未来が失われる

  • 明治大学 政治経済学部 教授
  • 加藤 彰彦
がん要因の45%は予防可能!! それを知らずに生活するのは危険

2018.5.16

がん要因の45%は予防可能!! それを知らずに生活するのは危険

  • 明治大学 文学部 専任講師
  • 宮脇 梨奈

Meiji.netとは

新聞広告連動企画

新着記事

2018.07.18

気候変動に関する日本の優れた農業技術が世界を救う!?

2018.07.11

民主主義と軍事主義。果たして共存は可能か?

2018.07.04

手書き文字の味を活かした、きれいな自分だけの文字ができる

2018.06.27

人の心を理解できないロボットは、人に対して脅威となる!?

2018.06.20

あなたの理想顔のイメージを簡単に画像化できる

人気記事ランキング

1

2014.09.01

緊急提言、人口減少社会に歯止めをかける ―方策は少子化対策、社会…

2

2017.03.29

「留学生30万人計画」が抱えている将来的課題とは

3

2017.10.04

精神鑑定は犯人救済のために行うのではない

4

2018.07.11

民主主義と軍事主義。果たして共存は可能か?

5

2013.09.01

少子化問題を斬る ―原因は、未婚化・晩婚化・晩産化にあり―

Meiji.net注目キーワード

【注目!】連載コラム