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女性が活躍する未来の農村のために

明治大学 農学部 教授 大内 雅利

最近、農業の6次産業化や「農業女子プロジェクト」の推進などによって、農業の分野で活躍する女性が話題になっています。産業としての農業が見直されてきたともいわれますが、一方で、農村の若い女性の人口は減少が続いています。この現象の問題点は何なのでしょう。

女性支援を目指してきた農業政策

大内 雅利 新聞などで「農ガール」「農ギャル」「農業女子」などの言葉を目にすることが多くなりました。農業や、農業の6次産業化などで活躍する女性を取上げたものです。農水省も「農業女子プロジェクト」を推進しており、農業女子のもつ「生産力」「知恵力」「市場力」という3つの力を、企業や団体とのコラボレーションに活かし、新たなサービスを開発しようとしています。そして活躍する女性農業者の姿を情報発信し、職業として農業を選択する若い女性の増加を図ろうとするのです。さらに、若い世代を中心に農業や農村を見直す動きもあります。都市生活者に増える田園回帰志向なども加えてよいかもしれません。こうした動きが広がり、農業や農村の人口が増えれば、未来の農村は安泰でしょう。

 現実はそう簡単ではありません。農水省は「農業女子プロジェクト」を行う以前から、農村女性を対象とした政策を長年、進めてきました。始まりは今から70年ほど前の1948年、農業改良普及事業の導入です。そこでは農業の振興とともに、農村生活の改善も目的とされました。当初は衣食住の改善を主としましたが、家庭管理、高齢者、むらづくりなど、改善の対象は時代の要請に応じて拡大しました。これらは生活視点の農村女性政策と言えるでしょう。

 しかし生活視点の政策は多大の成果を挙げながらも、新しい課題に直面しました。農業農村におけるジェンダー問題です。生活から一歩外にでると、そこが男社会であることにあらためて気付かされたのです。その頃世界でも日本でも男女共同参画社会基本法(1999年)に結実するような新しい動きが現れました。農水省もそれに呼応して、農村女性の社会的地位の向上を目指す政策を1990年頃から登場させたのです。

 女性は農業就業人口の約半数を占め、農業の担い手として重要な役割を果しています。しかしそれでも女性の地位は低く、女性の意見は農業経営に通らなかったり、自由に使える自分のお金が少ないというのが現実だったのです。そこで「家族経営協定」の導入、農村女性の起業活動の支援、そして女性の社会参画の推進など、新しい事業が始まりました。農水省はこうした政策や取組みにより、女性の農業従事者を支援し、その地位の向上を目指したのです。

 このような政策は人権視点といえるでしょう。男女共同参画社会基本法の第1条(目的)には、「男女の人権が尊重され、……豊かで活力ある社会を実現すること」と書かれています。

 これらに対して、近年の「農業女子プロジェクト」は産業視点から推進されています。女性を農業という産業の重要な担い手と位置づけ、そのための政策が進められているからです。このように農水省は、生活視点、人権視点、産業視点と、時代に合わせて多様な農村女性政策を進めてきました。

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