Meiji.net

2016.07.27

多様性に価値を見出す社会への変化を示唆する「LGBT」ブーム

  • Share

「LGBT」という言葉の広がり

 「LGBT」という言葉はレズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーの頭文字を取っています。この四つに収まらないものもあり、あくまで性的少数者の総称のひとつとして用いられています。この10数年の間に、日本でもマスコミが使うようになっています。この言葉に対しては批判的な意見もあります。L, G, B, T以外のセクシュアリティが見えにくくなっているという問題や、このような言葉を使うことで、L, G, B, Tの間の境界や、LGBTとそれ以外の人たちの差異がむしろ強調されてしまうという問題です。確かに、本来人間のセクシュアリティは多様であり、カテゴリー分けするべきではありません。ただ、「LGBT」という言葉が広く使われることで、多様な性のありようが認識されやすくなる、性的マイノリティへの理解がより深まるのではないかと、その言葉のポジティブな側面を重視する人もいます。特に若い世代には、「LGBT」という表現がキャッチーで親しみやすいと感じている人もいるようです。

 例えば、本学では、昨年(2015年)12月に「MEIJI ALLY WEEK」というキャンペーンを行いました。スローガンは、「誰もが自分らしく生きることのできる社会を目指して」。「LGBT」の理解者、アライ(ally、英語で同盟者の意)を増やしたい、誰もが誰かのアライになれるというコンセプトのもと、「LGBT」を考えるイベントや、自分らしさを表現するファッションショーなどを展開しました。企画した学生たちには、「性的少数者」という固い表現ではなく、同世代に届きやすい言葉である「LGBT」をあえて使いたいという思いがありました。実際、キャンペーンの反響は良く、5日間で1000人以上の参加がありました。「LGBT」に対して、「根本的には同じ人間で、思っていたより違いがないということを感じた。にもかかわらず悩み事が多かったり、不当に差別を受けているのは良くない」という声が、参加した多くの学生から聞かれました。学生たちが、そういう感性をもてるようになったことは、セクシュアリティだけでなくさまざまな差異や格差の問題への理解を高めるきっかけになると思います。

※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

  • Share

あわせて読みたい