明治大学の教授陣が社会のあらゆるテーマと向き合う、大学独自の情報発信サイト

不安? 便利? もう始まっている人工知能が働く社会

福地 健太郎 福地 健太郎 明治大学 総合数理学部 教授

最近、人工知能(AI)が脚光を浴びています。囲碁のトッププロを破ったプログラム、ロボットが接客するホテル、現実味を帯びてきた自動運転の車などが話題になっていますが、人工知能の発達に期待感がある反面、人間の職が機械に奪われるのではないかという危惧もあります。しかし、人工知能の利用に関して、もっと留意しなくてはならないことが別にあるといいます。

人間が人工知能に取って代わられる?!

福地 健太郎 人工知能に対する関心が高まっていますが、過剰に期待したり、あるいは心配し過ぎたりするのは、問題の本質から私たちの関心を逸らしてしまいます。例えば囲碁において人間のトッププロがコンピュータに破れたとき、コンピュータの知性が人間を超えることを危惧した反応があちこちで見られました。しかしそもそも、人間は囲碁を本当に得意としていたのでしょうか。もともと人間の頭脳は、計算のような、記号処理をひたすら繰り返す作業には向いていません。ですから計算が速くできたり囲碁が上手に打てたりする人はそう多くなく、それゆえ、そうした人間が本来苦手としていることを克服してきた計算の天才やトップ棋士たちは尊敬を集めてきたわけです。そこに、計算こそを得意とするコンピュータが現われると、計算の領域では人間は瞬く間に王座から陥落しました。囲碁でも同じことが起きようとしていると考えられないでしょうか。

IT・科学の関連記事

植物のストレス耐性遺伝子が、食糧危機の救世主に

2024.2.1

植物のストレス耐性遺伝子が、食糧危機の救世主に

  • 明治大学 農学部 准教授
  • 高橋 直紀
数学的見地から、生物多様性の保全をはじめとする社会課題の解決へ

2023.12.7

数学的見地から、生物多様性の保全をはじめとする社会課題の解決へ

  • 明治大学 研究・知財戦略機構 特任教授
  • 中村 健一
中小企業のDX推進こそが日本経済再興のカギ

2023.11.2

中小企業のDX推進こそが日本経済再興のカギ

  • 明治大学 経営学部 教授
  • 岡田 浩一
完全自動運転のためのセンシング技術

2023.5.10

完全自動運転のためのセンシング技術

  • 明治大学 理工学部 准教授
  • 網嶋 武

新着記事

2024.03.21

ポストコロナ時代における地方金融機関の「新ビジネス」とは

2024.03.20

就職氷河期で変わった「当たり前の未来」

2024.03.14

「道の駅」には、地域活性化の拠点となるポテンシャルがある

2024.03.13

興味関心を深めて体系化させれば「道の駅」も学問になる

2024.03.07

行政法学で見る「AIの現在地」~規制と利活用の両面から

人気記事ランキング

1

2020.04.01

歴史を紐解くと見えてくる、台湾の親日の複雑な思い

2

2023.09.12

【徹底討論】大人をしあわせにする、“学び続ける力”と“学び続けられ…

3

2023.12.20

漆の研究でコーヒーを科学する。異色の共同研究から考える、これか…

4

2023.12.25

【QuizKnock須貝さんと学ぶ】「愛ある金融」で社会が変わる、もっと…

5

2023.09.27

百聞は“一食”にしかず!藤森慎吾さんが衝撃体験した味覚メディアの…

連載記事