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2014.05.01

進化するインターネット・セキュリティ ―個人情報保護法の改正を巡って―

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ビッグデータの活用促進と個人情報の保護

 今回の個人情報保護法改正の、カギとなるのが“ビッグデータ”である。ビッグデータとはその名の通り、日々増大する大容量のデジタルデータのことである。このビッグデータを利活用することで革新的なサービスやビジネスモデル、新たな市場の創出、的確な経営判断、業務の効率化、あるいは社会的諸問題の解決などに大きく貢献することが期待されている。特に利用価値が高いとされるのが個人データ(パーソナルデータ)だ。政府も閣議決定した「世界最先端IT国家創造宣言」において、ビッグデータの利活用はグローバル競争を勝ち抜くカギであり、その戦略的な利活用が経済成長を促進するものと位置付け、特にパーソナルデータの利活用で民間の力を最大限に引き出すことを打ち出している。その際、足枷となるのが従来の個人情報保護法だった。現行法では、ビッグデータのやり取りは、個人情報保護法に基づく第三者規制により制限される可能性があり、効果的なビッグデータ利活用の道が閉ざされかねないのである。
 こうした背景を踏まえて進められているのが、個人情報保護法改正の検討である。言い換えれば、パーソナルデータの利活用を促進するための法改正ともいえる。特定の個人が識別される可能性を低減した個人データを定め、第三者提供における本人同意原則を緩和するための方策を検討するというものだ。また、独立した第三者機関を設置することで、パーソナルデータ取扱いに係る諸問題に迅速・適切に対応する体制も整備する。来年の通常国会への法案提出の予定だ。

※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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