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期待が高まる、トマト、アスパラガスの画期的な新栽培法

明治大学 農学部 准教授 元木 悟

アスパラガスの「採りっきり栽培」

元木 悟 アスパラガスの「採りっきり栽培」も、画期的と評価される新しい栽培法です。従来のアスパラガスの栽培法では、凍霜害の心配がなくなる5月から6月に植えて株養成し、1年後または2年後に収穫を始めますが、収穫始めは収穫量を少しに抑えて、再び株養成し、1年ごとに収穫量を増やしていくということを毎年行い、15年ほど栽培を続けます。従来の栽培法の問題は、同じ畑でアスパラガスを栽培し続ける(連作する)ため、病気が出やすくなることです。野菜栽培では、連作をできるだけ行わず、ひとつの野菜を収穫したあとに別の野菜を栽培するという輪作を行います。ところが、アスパラガスは本格的な収穫までに数年かかり、そのあとも数年に渡って株養成と収穫を繰り返すため、輪作には不向きで、その栽培は病害との闘いがつきものでした。そこで、私たちはアスパラガスの生理生態の研究を基に、新しい栽培法を開発しました。

 アスパラガスは40~50日をひとつの周期として若茎の発生が繰り返され、茎葉が発達していきます。日本では、成長した茎葉は秋に黄化し、茎葉から地下茎への養分転流が起き、冬を迎えると茎葉は枯れた状態になり(休眠)、刈りとられます。そして翌年、アスパラガスの株は茎葉が枯れる前の大きさから再び成長を始めます。つまり、前年の秋までに茎葉が大きく成長していれば、翌年、多くの若茎の収穫が期待できるわけです。そこで、植える時期を5月ではなく、2~3月に早めることを考えました。若茎の成長周期を1周期(40~50日)以上早めるわけです。しかし、2~3月には凍霜害があります。そこで、従来は地表近くに植えていたものを、15センチ程度の深さに植えることができる新型の定植器具であるホーラー(特許出願中)を開発しました。その結果、強い寒気があってもアスパラガスの地下茎は守られることを証明しました。このホーラーで2~3月に植えたアスパラガスは、翌年には太ものが収穫できる大きさにまで成長し、翌春の3か月間だけで日本国内における年間の平均単収の2倍以上の若茎を収穫できました。しかも、そこですべてを採りきってしまえば、それ以上の株養成をする必要がありません。病気に罹るリスクは減り、さらに、採りきってしまうことで畑が空き、別の野菜を栽培する輪作ができるようになります。また、アスパラガスは4月が春収穫の端境期(ハウスものが終わり、露地ものが始まる前の時期)といわれ、出荷量が全国的に減る時期でしたが、その時期に、1年養成株全収穫栽培法の「採りっきり栽培」を導入すれば、若茎を大量に出荷することができます。こうした点が画期的と評価され、2016年に生産者や指導者、流通業者などの方々を招いたセミナーで公表して以来、川崎市や東京都多摩市、秋田県横手市などの行政機関との提携をはじめ、様々な自治体や研究機関との共同研究へと拡がっています。近い将来、ブランド化した「採りっきり栽培」のアスパラガスが市場に登場するかもしれません。

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