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期待が高まる、トマト、アスパラガスの画期的な新栽培法

明治大学 農学部 准教授 元木 悟

ミニトマトの「ソバージュ栽培」

 近年、成果を上げている研究のひとつが、ミニトマトの新しい栽培法です。もともと、日本ではトマトの需要は高く、売上高では国内で一番高い野菜です。以前は大玉が中心でしたが、さらに、中玉やミニトマトにも嗜好が広がり、現在ではミニトマトが生産の1割以上を占めるようになっています。最近では、様々な色のミニトマトが開発されるなど、多様なカラフルトマトが店頭に並んでいます。今後も、ミニトマトの需要は増加していくことが予想されます。

 トマトというと夏の野菜というイメージをもっている人が多いと思いますが、実はトマトは、夏場の露地では非常に作りづらい野菜です。まず、気温が35度以上になると、花粉の稔性が悪くなり、着果しにくくなります。つまり、花粉があまり出なくなり、実がつかなくなるのです。また、高温になると赤い色素のリコペンが発現しなくなります。赤くならず色づきの悪いトマトになってしまうのです。また、雨などが多いと病気が発生しやすくなります。気温が異常に上がり、集中豪雨などもよく起こる最近の日本の夏の気象は、トマトにとって大敵というわけです。そこで、盛夏期にも生産が可能な、しかも省力的な新栽培法として私たちが開発したのが、ミニトマトの「ソバージュ栽培」です。

 この栽培法のポイントは、支柱高2m、支柱間2mほどの逆U字型の支柱を2mほどの間隔に並べて立て、全体にネットをかけてトマトの茎を誘引することです。ここに、茎や葉を伸びるに任せておくことが、従来のミニトマト栽培にはまったくなかった新発想です。やがて、伸びた茎や葉によるトンネルができあがります。トンネルの外側の葉には太陽の光が燦々と降り注ぎ、光合成が活発に行われます。ところが、トンネルの内側は葉の繁茂によって光が十分に当たらず、外側に比べて温度も低い状態になります。ここに、果実が着くのです。

 この「ソバージュ栽培」のメリットはいくつかあります。まず、盛夏期にも生産が可能で、入荷量が少ない時期に消費者の需要に応えることができます。また、設備は支柱とネットとマルチ程度なので、初期投資がハウスに比べて1/3程度の費用で済みます。ここ数年、全国各地で震災などの自然災害があり、農業も大打撃を受けましたが、「ソバージュ栽培」は生産者の方々の震災復興などにも役立つと思います。さらに、「ソバージュ栽培」の単位面積あたりの収穫量は、従来の栽培法と比べてやや多いぐらいですが、1株あたりの収穫量になると従来の栽培法の5~6倍になります。例えば、従来は500株植えなくてはならなかったところに、100株で済むようになるわけです。苗の購入費用が抑えられるとともに、品薄で高値が期待できる夏場に出荷できれば、収益が向上します。また、「ソバージュ」という栽培名が示すように、生育は放任で、栽培管理はほとんどありません。従来のトマト栽培では生育期間中に何度も必要だった、芽かきや葉かきは初期の生育時のみに行えば良く、交配や灌水といった栽培管理は、ほぼ不要です。また、連続摘心(一定の大きさに生育した主枝や側枝の先端を剪定すること)やつる下ろし、夏場の着果を安定させるために植物成長調整剤(植物ホルモン剤)を散布する作業などもなくなります。こうした数々のメリットが画期的と評価され、現在、「ソバージュ栽培」は東北地域を中心に全国各地で普及が始まっています。

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