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2018.07.25

アジアの脅威は中国や北朝鮮ではなく、日本!?

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日本がアジアの脅威になりつつある!?

塩津 文隆 また、日本の軍拡はもっと大きな問題に発展するかもしれません。そもそも、なぜ、安倍政権はそうまでしてアメリカ一辺倒の政策をとる必要があるのか。もちろん、安全保障上の強力なパートナーとして位置づけていることはありますが、もっと柔軟な思考が必要です。例えば、近年、アジア各国は、アメリカよりも中国との関係を太くしてきています。アメリカに寄り過ぎで中国との関係が悪い日本は、このままではアジアで孤立しかねません。実際、世界で6位ともいわれる軍事力をもち、さらにアメリカ製の高性能な軍事兵器によって軍拡する日本も中国と並んで、アジアの脅威となりつつあるのです。日本は専守防衛といいますが、かつて日本に侵攻された歴史をもつアジア各国には、それは信用されません。よく、「安全保障のジレンマ」といいますが、安全保障のための軍拡であれ、軍拡は軍拡を招くのです。つまり、対抗の繰り返しで、それによって互いに緊張を高めることになるのです。むしろ、戦後の日本は、どういう意味で信頼を得るようになったのか、どういう意味で危険視されているのか、まず、それを日本人自身がしっかり認識することの方が重要です。戦後70年以上、日本に直接的な軍事行動をとらせなかった憲法9条の意味を、平和憲法の精神を考えれば、アメリカ一辺倒の政策の先に、どのような将来ビジョンが描けるのか、私たち自身が問い直すべきなのです。

※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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