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司法軽視も、アメリカ憲法上の歴史的危機

 トランプ大統領は、過去に政府で仕事をしたことがありません。私たち一般人が勤める会社のような組織で仕事をしたこともありません。彼は生まれつきお金持ちで、ずっと、自分のやりたい放題をしてきました。だから、大統領になっても、大統領が憲法や法律に縛られるということがわかっていないのです。政治家として、駆け出しのアマチュアです。就任早々問題となった移民の入国規制も、法律の専門家のアドバイスを聞くこともなく、ただ選挙中の公約だからと稚拙なまま反移民の発令をしました。その結果、連邦判事に差止命令を出されると、今度は裁判官に怒り、「so-called judge」いわゆる裁判官と言って裁判官を批判しました。裁判官に対する軽蔑的な言葉というよりも、彼が裁判所の憲法上の権限を認めていないのではないかという心配があります。このことも、報道機関を国民の敵と呼んだことと同じく、独立性を持っている裁判官も敵としているかもしれません。これは、アメリカの憲法上の歴史的な危機と言えます。これまでアメリカのすべての大統領が、憲法を尊敬し、裁判所の命令に従ってきましたが、トランプ大統領には、裁判所がもっている司法審査権を認める意思があるのかすらわかりません。

 私の世代には、1972年に起きたウォータゲート事件が深く記憶に刻まれています。共和党のスタッフが民主党本部に盗聴器を仕掛けたことが発覚した事件ですが、当時のニクソン政権が事件を調査する特別検査官を解任するなどの司法妨害をしたため、世論が猛反発し、大問題となりました。最後に連邦最高裁判所がニクソン大統領に対して違法行為の証拠となるオーディオテープ提出を命令しました。ニクソンは、裁判所の憲法上の権限を認め、アメリカ史上初めて任期中に辞任しました。もし同じようにトランプ大統領と裁判所の間に対立が起こった場合、トランプがニクソンのように裁判所の権限を認めるかどうかわかりません。

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