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2015.03.01

外部英語検定試験・導入の意味 ―世界で勝負できる人材を育成するために―

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学習ストラテジーを身につけて

 ――世界に通用する英語力、表現力を身につけるために大切なことは何なのでしょうか。

英語に限らず言語の習得についていえば、学校での学習量は絶対的に足りません。言語習得には、自分が自律してどんどん勉強する必要があります。語学の達人といわれる人たちは、自分で相当な時間をかけて、授業外で勉強しています。自律的に目標を設定し、計画を立て、教材を選び、目標に向かって努力します。中野キャンパスにあるセルフ・アクセス・センターは、そのために作られました。
もうひとつ大切なのは、目標に一応到達した後で振り返るリフレクションです。これらの一連の行為をつかさどっているのが、認知心理学でいう「メタ認知」です。分析や統合、計算、まとめなど、論理的に考える「認知」に対し、メタ認知はすべての思考をコントロールするメカニズムです。目標を立てて計画をつくり、その手段を考えて自分で何かをする。どこがいけなかったのか評価するところまで行います。将来アカデミックな分野や仕事で成功するのは、圧倒的にメタ認知が強い学生だと言われています。

自律学習・メタ認知で「生きる力」を養う

 ――具体的に、効率的な学習方法はあるのでしょうか。

目標・計画・手段・実施・評価といったプロセスを自分でコントロールすることです。その中で、より効率的で役立つ方策を編み出すのが学習ストラテジーです。例えば単語を覚えるときに、いろいろな方法がありますが、その一つが単語をグループに分けることです。たとえば、grade、banana、orange、nose、mouth、semesterという単語があった場合、banana、orangeはフルーツのグループ、grade、semesterは学校のグループ、nose、mouthは顔のグループとすれば、記憶に残ります。また、本を読んでわからない単語に出合った時、文脈から推測するとか、挿絵を見て内容を推測するとか、これも学習ストラテジーです。その学習ストラテジーにはメタ認知の要素も入っていますが、それを持つ学習者は自分で目標を立て問題解決し、目標を達成したあともそれについて振り返ることができます。実は、中国も韓国もヨーロッパもそして日本も、このような「メタ認知のある学習者」、「生きる力のある学習者」、「自律した学習者」を育てることを教育理念の一つにしています。
日本の学習指導要領の理念は、「生きる力」と言っています。明治大学が掲げる「個の力」もこれに通じますが、まさにそれです。生きる力を養うという指導要領の理念は、「豊かな人間性」と「確かな学力」そして「健康・体力」という三つの要素からなっており、その中の確かな学力とは、自分で目標を定めて、問題があれば自ら解決し、計画を立て、目標を達成したら振り返る力を指しています。

※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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