明治大学の教授陣が社会のあらゆるテーマと向き合う、大学独自の情報発信サイト

求められるグローバル人材育成のために

福宮 賢一 福宮 賢一 明治大学 名誉教授(元学長・商学部教授)

未来を切り拓くグローバル人材

福宮賢一学長 国際化の進展に伴い、国境を超えて世界で活躍できる「グローバル人材」の育成が各方面で盛んに議論されています。かつてグローバル人材といえば、語学力やコミュニケーション力を備えた人材と見られていましたが、現在はそれだけでは通用しない時代です。私が考えるグローバル人材とは、人類愛に対する共感に裏打ちされた異文化理解力を持ち、論理的思考力を備えた「未来開拓力」に優れた人材です。このような資質を持った人が、日本や世界が抱えている課題を解決し、未来を切り拓いていく人材だと思います。
各大学とも、グローバル人材の育成には鋭意取り組んでいますが、容易なことではありません。グローバル人材育成の手段の一つとして海外留学がありますが、様々な理由のためにすべての学生が留学できるわけではありません。そのため、海外に送り出す取り組みに加え、国内で異文化体験できる機会があることも重要です。最近、明治大学では、留学生を受け入れて交流を深める一環として日本初の「模擬国連ワークショップ」を開催し、学内に世界各国から100名を超える学生・教員が集まり、世界が抱える課題を解決するための方法についてセッションを行いました。また、国連難民高等弁務官(UNHCR)駐日事務所と協定を締結し、「難民」を対象とした推薦入試を行い、これまでに7名の難民学生を受け入れています。印象深かったのはアフガニスタンから逃れてきた学生です。あるイベントで、明治大学で学べることへの心からの感謝の辞を述べてくれました。それは、人間としての喜びまでに昇華されている素晴らしいスピーチでした。苛酷な人生を歩んできた彼と学生との交流は、大きなインパクトをもたらしたと思われます。

キャリア・教育の関連記事

「美しい日本語」は外国人宣教師の言葉の中にある

2024.1.11

「美しい日本語」は外国人宣教師の言葉の中にある

  • 明治大学 文学部 教授
  • 郭 南燕
利便性や効率性を追い求めていけば、人は幸せになれる?

2023.7.26

利便性や効率性を追い求めていけば、人は幸せになれる?

  • 明治大学 法学部 准教授
  • 土方 圭
芥川龍之介はセルフプロデュースの達人だった

2023.5.17

芥川龍之介はセルフプロデュースの達人だった

  • 明治大学 国際日本学部 准教授
  • 小谷 瑛輔
感染症を描いた文学作品は、いまの私たちにこそ響いてくる

2023.3.10

感染症を描いた文学作品は、いまの私たちにこそ響いてくる

  • 明治大学 政治経済学部 教授
  • 池田 功
日本独自の文化はどのように形成されたのか

2023.2.8

日本独自の文化はどのように形成されたのか

  • 明治大学 経営学部 准教授
  • 森田 直美

新着記事

2024.03.21

ポストコロナ時代における地方金融機関の「新ビジネス」とは

2024.03.20

就職氷河期で変わった「当たり前の未来」

2024.03.14

「道の駅」には、地域活性化の拠点となるポテンシャルがある

2024.03.13

興味関心を深めて体系化させれば「道の駅」も学問になる

2024.03.07

行政法学で見る「AIの現在地」~規制と利活用の両面から

人気記事ランキング

1

2020.04.01

歴史を紐解くと見えてくる、台湾の親日の複雑な思い

2

2023.12.20

漆の研究でコーヒーを科学する。異色の共同研究から考える、これか…

3

2023.09.12

【徹底討論】大人をしあわせにする、“学び続ける力”と“学び続けられ…

4

2023.12.25

【QuizKnock須貝さんと学ぶ】「愛ある金融」で社会が変わる、もっと…

5

2023.09.27

百聞は“一食”にしかず!藤森慎吾さんが衝撃体験した味覚メディアの…

連載記事