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2017.08.09

多様な世界に飛び込み自分の殻を破るために、いまこそ留学

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学生の目的に応じた多様な留学プログラムを推進

小林 明 異文化の中に身を置くことではじめて培われる異文化理解や、異文化に対する感性があり、そして、多様な能力を身につけるきっかけになることは、留学を経験した者なら多くがわかっています。しかし、経験していないものにとっては、留学とは語学力アップのためとのイメージを捨てきれず、ましてや国内での就職を考えていると、なかなか第一歩を踏み出せません。OECD(経済協力開発機構)による調査結果では、日本の留学生は減少傾向にあります。理由は様々ですが、一番は経済的理由だと思います。例えば、本学部にはイギリスの名門校へ留学するプログラムがありますが、1ヵ月間で70~80万円の費用がかかるものもあります。以前は希望者がありましたが、現在は費用対効果の観点から希望者が少なく、休止状態になっているものもあります。社会的に恵まれている、便利な日本から、経済的な無理をしてでも海外留学に行こうという強い気持ちは、一般的にはもちにくいのです。しかし、長い目で見たとき、それが自国主義や排他主義につながる恐れがあるのです。

 そこで本学では、より経済的負担を軽くする留学プログラムの開発を進めています。今年はアメリカで、世界100ヵ国以上の教育機関の国際教育担当者が集まる大きな国際教育研究会があり、私たちはそこで50以上の大学と交渉し、可能な限り安価な留学プログラムの開設について交渉しました。その中には、アメリカの州立大学と提携し、1年間の授業料と生活費を入れて100万円程度の費用に抑えるプログラムがあります。また、1週間から1ヵ月程度の短期留学も充実させています。まずは、どのような形であれ、留学に踏み出し、実際に異文化を体験して欲しいのです。その中で様々な発見があり、さらに自分なりの目的をもった留学に発展していくものと思うからです。このように、留学は段階を踏む体制が必要だと考えています。理想は十人十色の留学プログラムをそろえることです。しかし、それを大学だけで実現するのは困難です。国際教育は、幼児期からの体系的なシステムを構築することが必要です。

※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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