明治大学の教授陣が社会のあらゆるテーマと向き合う、大学独自の情報発信サイト

チャレンジすることで未来は拓ける ―レトリック批評の現在と現代若者論―

鈴木 健 鈴木 健 明治大学 情報コミュニケーション学部 教授

若き日のディベートが出発点だった

鈴木健教授 私が研究対象としているのは「公の説得の技法としてのレトリック批評」です。まず最初に、私自身がこの学問分野に行き着いた経緯を語ることから始めたいと思います。英語に堪能になることに憧れていた私は、大学に入学するとさっそくEnglish Speaking Society (ESS)という英語サークルに入ることにしました。その中で私が選んだセクション活動は「ディベート」です。2年生になって対抗試合に出始めましたが、1年間はとにかく出ると負けで、予選を通った記憶がありません。3年生時にはディベート・セクション・チーフになったこともあって、できることはすべてやってみようと頑張りました。秋の大会では東日本大会決勝戦まで駒を進めましたが、最後の最後で負けてしまいました。それが悔しくて、3年間の社会人生活を経た後、カンザス大学コミュニケーション学部大学院修士課程にディベートをテーマに修士論文を書きながら、アメリカ人大学生相手にディベートコーチを務めました。
 私が最初にアメリカに留学したのは、ディベートを勉強したかったからであり、修士論文も日米大学生ディベート活動の比較がテーマでした。ディベートはある主題について異なる立場に分かれ議論するコミュニケーションの形態ですが、議論学(Argumentation)と呼ばれる議論のプロセスや説得力等が研究対象とする学問分野の一部となります。それが敷衍して、「レトリック批評」(Rhetorical Criticism)や「説得コミュニケーション論」といった、現在の研究対象に行き着いたのです。
 カンザス大学大学院では、日本人として初の全米ディベート選手権審査員を務め、さらに3年後に留学したノースウエスタン大学大学院博士課程では日本人として初の全米ディベート選手権優勝校のコーチを務めるという僥倖にも恵まれました。

キャリア・教育の関連記事

「美しい日本語」は外国人宣教師の言葉の中にある

2024.1.11

「美しい日本語」は外国人宣教師の言葉の中にある

  • 明治大学 文学部 教授
  • 郭 南燕
利便性や効率性を追い求めていけば、人は幸せになれる?

2023.7.26

利便性や効率性を追い求めていけば、人は幸せになれる?

  • 明治大学 法学部 准教授
  • 土方 圭
芥川龍之介はセルフプロデュースの達人だった

2023.5.17

芥川龍之介はセルフプロデュースの達人だった

  • 明治大学 国際日本学部 准教授
  • 小谷 瑛輔
感染症を描いた文学作品は、いまの私たちにこそ響いてくる

2023.3.10

感染症を描いた文学作品は、いまの私たちにこそ響いてくる

  • 明治大学 政治経済学部 教授
  • 池田 功
日本独自の文化はどのように形成されたのか

2023.2.8

日本独自の文化はどのように形成されたのか

  • 明治大学 経営学部 准教授
  • 森田 直美

新着記事

2024.03.14

「道の駅」には、地域活性化の拠点となるポテンシャルがある

2024.03.13

興味関心を深めて体系化させれば「道の駅」も学問になる

2024.03.07

行政法学で見る「AIの現在地」~規制と利活用の両面から

2024.03.06

ブログを書いて開けた研究者の道

2024.02.29

LGBTQ問題の法整備の遅れと最高裁の視点

人気記事ランキング

1

2023.12.25

【QuizKnock須貝さんと学ぶ】「愛ある金融」で社会が変わる、もっと…

2

2020.04.01

歴史を紐解くと見えてくる、台湾の親日の複雑な思い

3

2023.09.12

【徹底討論】大人をしあわせにする、“学び続ける力”と“学び続けられ…

4

2023.09.27

百聞は“一食”にしかず!藤森慎吾さんが衝撃体験した味覚メディアの…

5

2024.03.14

「道の駅」には、地域活性化の拠点となるポテンシャルがある

連載記事