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2014.12.01

ファミリービジネスが地域経済を立て直す ―日本全体にダイナミズムを復権する―

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ファミリービジネスの後継者を育成する

青井倫一教授 私は元々、不確実性の下の意思決定という、不確実な事象を含む市場・社会へのマネジメントにおける、「合理的に選ぶプロセス」を「決める能力」として、レベルアップさせることを研究対象としてきた。そこからリスクマネジメント、競争戦略という不確実性を扱う経営分野にシフトしている。私が教鞭をとる専門職大学院グローバル・ビジネス研究科(MBS)も、不確実性と隣り合わせのファミリービジネスと密接な関係がある。MBSは日本経済・社会のダイナミズム高揚のための取り組みの一つとして、ファミリービジネス発展のための後継者およびサポート人材の育成をターゲットとしている。後継者候補はたとえ一芸に秀でていても、ジェネラルマネジャーでなければ良い経営者にはなれない。優れた後継者育成を通じて、地域社会の発展に寄与したいと考えている。
「グローバル・ビジネス」といえば多国籍企業が携わるビックビジネスをイメージしがちだが、これからの日本の成長を考えたとき、むしろ地域経済の担い手であるファミリービジネスにこそ、国際的な視野を備えたジェネラルマネジャーが必要である。今、イノベーションを打ち出さなければ、やがて日本は見放されることになりかねない。ファミリービジネスに関わる人々が、国際的なネットワークを活かしてアイデアを示せば、日本全体にダイナミズムが生まれるだろう。そして、このダイナミズムの復権こそが、私が社会へ提言したいことでもある。そのためには、それぞれの環境において、一人一人が「現状維持バイアス」からの脱却を図らねばならない。ダイナミズムは従来のやり方を踏襲していては生まれない。「敢えて動くこと」である。動かないための理由をつけて「NO」というのではなく、「Say, Yes」。適切なリスクマネジメントでリスクテイクするアクションが、日本の社会・経済にダイナミズムを生んでいくと考えている。

※掲載内容は2014年12月時点の情報です。

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※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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