2024.03.14
- 2014年11月1日
- ビジネス
女性が変える日本の未来 ―求められる女性が活躍できる企業組織―
牛尾 奈緒美 明治大学 情報コミュニケーション学部 教授安倍政権が打ち出した「女性の活躍推進」
安倍政権は国の成長戦略を進める上で、「女性の活躍推進」を主要な課題として掲げている。私は、長年、企業組織における女性の能力発揮の問題に取り組んできたが、具体的施策に関しては議論の余地はあるものの、国として「女性の活躍推進」を掲げたことは評価したい。安倍総理が発信したことにより、企業組織において女性の活躍が重要であると捉え、議論する素地ができたこと、これは大きな前進と考えている。
「社会のあらゆる分野において、2020年までに、指導的地位に女性が占める割合が、少なくとも30%程度にする(2003年・男女共同参画推進本部決定)」、いわゆる「2020年30%」という数値目標の達成に向けて、国をあげた本格的な推進体制も整備されつつある。今国会(2014年・秋)での成立を目指している「女性活躍推進法(女性の職業生活における活躍の推進に関する推進案)」も、女性活躍のためのインフラ整備の一環である。こうした国の動きに応じて、各企業には独自の取り組みが求められている。具体的にはジェンダーの視点からの人材マネジメントの構築と、従来さまざまな組織で実践されてきた成功事例の集約と検証が必要とされている。
専業主婦から学究の道を目指したワケ
私は大学卒業後、フジテレビでアナウンサーの仕事に就き、27歳で結婚・退職し、専業主婦となった。自ら望んでの選択ではあったものの、専業主婦となって実感したのは、一人の女性、個人というよりも「嫁いだ家の嫁」という自分の立ち位置だった。では、私とは一体何なのか、あるいはそれまでの自分のキャリアは何だったのか。専業主婦であることに、疑問や違和感を抱くようになった。そして考えたのは、家庭生活を大切にしつつ、社会で自分の能力を最大限に活かすことであり、それが、自由度が高く、自分の裁量で自立的に働き、専門性を獲得できる学究の道だったのである。
出産後に一念発起し大学院に入学し経営学を専攻。最終的には、家族社会学からアプローチした企業の人事制度、人材活用等を研究テーマとした。日本の家制度と雇用環境は多くの類似性があり、古い家制度が変化していく中、新しい雇用慣行の理念が求められていることにフォーカスしたもので、それは現在の研究テーマである「ジェンダーの枠を超えていく」ことに直結するものである。