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2014.03.01

中小企業の成長発展のために ―中小企業の成長なくして一国の成長はない―

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経営者は自信を持つことが重要

 日本のモノづくりを支えてきたのは中小企業である。中でも大企業の下請企業は取引先の要請に応え、コストダウンや品質向上に努めてきた。この下請制は戦時中に必要に迫られて作られたもので、以来、そのピラミッド構造が定着した。その過程で生まれたのは、「うちは下請企業だから。大企業のおかげで仕事がある」と、必要以上に自らを卑下する下請企業経営者のネガティブマインドである。さらに下請企業のビジネスフローは、一般的な企業のそれと著しく異なる。通常、経営者は何を仕入れて何を作りどこに売るかを考えるが、下請企業の場合、売り先は決まっているため、作ることだけに専門特化した。その結果、下請企業の経営能力は退化したのである。つまり、仕入れ先と売り先の開拓努力を怠ったことにより中小企業は弱ってしまったのだ。こうした、下請企業を取り巻く風土が、経営者に自信を失わせ、その力を発揮できない状況を作り出していったと思われる。目指すべきは、“脱下請”であり、社会的分業としての“自立的下請”である。そのためには、経営者は技術力をはじめ自らの能力に自信を持つことから始めねばならない。これは下請企業に限ったことでなく、中小企業の経営者に求められていることだと思う。事実、自信を持ったことで伸びている中小企業は少なくない。今までの意識を変えて、自ら培ってきた能力やこれまでの実績・経験に自信を持つことが、中小企業の成長発展に向けた第一歩である。中小企業の成長なくして一国の成長はないのだから。

※掲載内容は2014年3月時点の情報です。

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※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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