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国民皆簿記のすすめ ―社会に役立つ会計の考え方―

本所 靖博 本所 靖博 明治大学 農学部 准教授

CSR活動と会計の親和性

 ここまで見てきたように、会計は単に経済的責任を果たすという意義から社会的責任を果たすという役割に広がってきています。その観点から、学生とともにCSR活動にも取り組んでいます。CSRは企業の社会的責任を意味しますが、大学も社会的責任を果たすべきなのです。その一つが、2009年から神奈川県川崎市で展開している地域連携活動です。商店街には「買い物の場」としての基本的機能だけでなく、「地域のコミュニティの場」としての多面的機能があるのではないかという問題意識のもとまとめ上げた提案が、商店街と大学生の協働による地域連携活動へと展開しました。商店街が主催するイベントの企画・運営への参加をはじめ、多彩な活動を継続して行っています。また、現在新たに進めているのが青森県西目屋村の「定住促進プロジェクト」です。過疎化が進む村を活性化させるため、定住してくれる人を集う取り組みですが、その前提としてよそ者を受け入れない風土を変える必要があります。大学生が行くことで起こる化学変化を期待して、村祭り等への参加を始めています。
 私は、CSR活動というのは近江商人の「三方よし」に類似したものだと考えています。つまり売り手よし、買い手よし、そして世間よしの三方です。一連の地域連携活動には当然資金が必要であり、資金の出し手がいます。その資金の使い手である我々は、いかに資金を有効に使って関係者が理解・納得する成果を生み、「三方よし」を実現するか。そのプロセスに会計の考え方が求められると考えています。

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