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ロジスティクスの視点で考える「物流危機は新ビジネスのチャンス」

明治大学 専門職大学院 グローバル・ビジネス研究科 専任教授 橋本 雅隆

サービスの受益者と提供者の構造的な「ゆがみ」

 このような物流需要の急増に対して物流の能力が追い付かない背景には、物流コストの負担構造にゆがみが生じていることが指摘されています。つまり、物流企業に支払われる料金水準が低すぎるので、運賃の引き上げが必要だということです。実際、物流需要は増えているのに運賃水準は低下傾向にありました。ここを是正しないと若い労働力が物流業界に入ってきません。そこで、現在、物流企業と荷主の間で運賃の引き上げ交渉が進められています。また、消費者に宅配料金を適正に負担してもらうことで、上記のような過度なネット通販貨物の急増は緩和されるかもしれません。しかし、このことの本質には、我が国におけるサービスの受益者と提供者の構造的な「ゆがみ」があるように思われます。私達の意識に「サービスは只」という誤った考え方がしみついているように思われます。上で述べた「送料無料」も何か当然のように思われがちですが、本来、消費者が負担すべき買物コストを専門の宅配便にサービスとして「外部化」しているだけなので、受益者である利用者はその正当な対価を負担すべきです。

 より本質的に考えると、サービスは提供者と受益者の協力によって「生産」されるものです。例えば理容サービスにしてもお客自身が店に行って理容師に適切な注文をしないと望む髪型は実現しないでしょう。宅配便でも受取人が何らかの形で受け取りに「協力」する仕組みを考えなければなりません。つまり、料金負担の問題のみならず、物流サービスの提供者と受益者が分断しているゆがんだ構造がより本質的な問題で、両者を「つなげ」てレベルの高いサービスを維持・向上させることが本質的な課題であると考えています。

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