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明治大学の教養 Vol.4

「歌の始原」への旅を続けた20年

 古代文学と民俗学の研究を続けている中で、文献を読むだけで1300年以上前の文学を解釈できるのかと、限界を感じたのは37歳の時だった。書かれている内容を実感して理解したいと願うなかで、宮古島の狩俣の集落に伝わる祭祀と古代から伝わる叙事歌「神歌(かみうた)」を聞いた。以来20年間、祭祀が中断した後も、古老から「神歌」について聞くために毎年通い続けている。この「神歌」についてのフィールドワークで得られた実感をもって古代文学と向きあい、研究の限界を乗り越えることができたのだと思う。文献の研究と民俗学の研究は別々にされていることが多いが、それを融合することで真の作品の解釈が得られると考えている。狩俣の集落と出会って以来20年、私は叙事歌の原点を求めて「歌の始原」への旅をしているように思う。この旅の記録はまとめて近々発表したいと考えている。(談)

掲載内容は2010年9月時点の情報です。

※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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